◇◆あじさい◆◇

『トシキィ〜!』



二階に向かって声をあげたとっつぁんママ。



『あぁ?』



『迷える子羊ちゃんご来店!!』



とっつぁんが二階から顔を出した。



『マジっ?お前っ、家出少女かっ。』



発する言葉は不器用だが、とっつぁんもまた、状況の読み取りは早い。



『相手してやんなぁ!あたし店まで少し寝とかなきゃ〜。歳には勝てない〜。』


とっつぁんママは私の肩を軽く叩くと部屋へと入って行った。


私には、とっつぁんママの優しさが、今1番求めていたものに触れた様で嬉しかった。