『あったぁ〜っ!!』



突然、和也の声が響いた。


私達は、ドームへと駆け寄った。



裕介が手にしていたそれは、缶が真っ黒に変色はしていたが、間違いなく、10年前のあの日、私達が埋めたタイムカプセルだった。


『興奮して手が震えるよ。
和也。お前が開けろっ。』


裕介がタイムカプセルを和也に渡すと、錆ついてなかなか開かない蓋を、スコップの先で一気に開けた。



蓋が開いた瞬間、
スローモーションがかかったかの様に見えた。




中からは、

五色のお守りと、一枚の写真…。


そのお守りに、
私と沙織はハッとした。



それぞれの紐が、
全て一つに結ばれていた。


『えっ!?これ…、』



沙織がそれに気付くと、和也は笑みを浮かべた。



『とっつぁんが結んだんだよ…。タイムカプセル埋める直前。』



私は、なんだか涙が出そうになった。



『…ほんと?』


『そぉ〜だったかぁ〜?』


私の問いに、彼はわざとらしく惚けた振りをした。



皆が優しい笑みを浮かべていた。



『これだぁ〜れぇ〜?』



心五は、写真を指差した。


『…これねぇ、

風ちゃんと、風ちゃんのお母さんなんだよ。』



私は写真を手に取り、心五に見せた。



『ちがうよぉ〜!』



心五は私を見て、不思議そうに答えた。



『これ、風ちゃん赤ちゃんだったからぁ〜。心五、わらんないよね…?

…でもね。
風ちゃん…、

大好きだったんだぁ…。

お母さん。』






『…ずっと、


私達の事、


見守ってくれてる様な気がする。


風花の…



お母さん。』





沙織の言葉に、
心がとても温かくなった。



『うん。

…そう、信じてる…。』




とっつぁんは、
私の頭をクシャクシャにした。




3月の

澄み切った空の下

私達の『絆』は

あの頃と変わらず

今もここに

息づいている…