家に帰ると、父は台所のテーブルで昔のアルバムを眺めていた。



『…ただいまぁ…。』



『おぉ、風花ぁ。
なんだぁ?今日はちと、早いんじゃないかぁ?』


父は時計を眺めながら、手元でアルバムを閉じた。



『ぅん。

とっつぁんがね…、

お父さん寂しがってるって。病室…追い出されちゃったぁ。』


私は少し笑いながら、父の前に座った。

父も少し笑みを浮かべた。

『…どうだぁ?
トシキ君…。大分良くなったのかぁ?』



『…うん。徐々にね…。』

私は、とっつぁんがまだ知らない真実を、父に話す事は出来なかった。


『…そぉかぁ〜。
父さんも一度、見舞いに行こうと思ってるんだがぁ…。今度の休みにでも、どうだ?』


『…うん。
喜ぶよ。きっと…。


ねぇ、お父さん。

何見てたの?』



私は、父の手元を見つめた。