『…ほらぁ。

送ってもらえ。』





裕介の視線が、私の後ろに向けられた。



振り向くと、両手に息を吹きかけながら歩いてくる人。





『…じゃあな。』



裕介は、その言葉を言い、前を向くと一人で歩き出した。




私はその背中を、

追う事は出来なかった。




【裕介…、ごめん…。】



心の中で、繰り返した。








『おぉ〜!
なんだお前っ!?こんなトコでっ。』


とっつぁんは、驚きながら私に声をかけた。



『お前?裕介と先に帰っ…。』


そう言いかけて私の顔を見た とっつぁんは表情を変えた。


そして、遠くなる裕介の背中を見たとっつぁんは、状況を読んだ。




とっつぁんは、黙って私の頭をクシャクシャに撫でると私の手を取り歩き出した。



『帰るぞっ!』



それ以上、とっつぁんは何も話さなかった。