そうして家の前に着くと、誰かがしゃがみ込んでいるのが分かった。




『…お前…。』




『…裕介…。』




そこに居たのは裕介だった。



裕介は私の足元を見た。




『長い「かくれんぼ」だったな…。』




裕介は、何故か笑顔で私を見つめた。




私は何も答えられなかった。




『…ほん今まで、和也も沙織も居たんだ。沙織相当心配してたよ…。』




私は小さく頷いた。




『二人には、俺から連絡しとくから、お前もぅ、家入れよ。…お父さん、待ってんだろ?』




私はまた、小さく頷いた。



裕介は、そっと近付くと、私の背中を優しく押して、玄関へと連れて行ってくれた。




『…じゃあ。明日なっ。』


そう言って、立ち去ろうとした裕介の腕を、私はギュッと掴んだ。




『…ゅ…すけぇ…。』



自分で掴んだ腕を離せずに、それ以上言葉が出てこない。





『…風花。
お前を苦しめたのは俺だよ?お前のクチから「ごめん」は言わせない。

…だから、今まで通りでいぃんだ。今まで通りで。』



裕介は、そっと私の手を離し、ゆっくり背を向け帰って行った。




裕介の優しさが、

伝わり過ぎて、

胸の奥が痛んだ。