◇◆あじさい◆◇

『先生、お前らに聞きたい事あるから…』

と、険しい表情で1人1人バラバラに会議室、進路指導室、職員室、書道室へと連れてかれた。


それはまるで、全員バラバラ状態、同時刻に始まった事情聴取だ…。


祐介は1人で万引きをしたと言い張るが、本当の所はどうなんだ…?といった内容で、私はただ、あの両親共に公務員で誰よりも優しい祐介が…どうして…と動揺を隠せなかった。


『お前らも、そこに居たんじゃないのか?』


先生の質問に、私は驚くあまり声にならなかった。


『居たんだろ?』



【違っ、違う…】


私は言葉にできないまま、自然と溢れる涙を拭う事も出来なかった。