『…お前…。
珍しいじゃん。寝坊か?』

『ちっ、ちがうよぉ!
とっつぁんと一緒にしないでっ!』


『っばぁ〜かっ!
お前っ、声でけぇ〜っつ〜のっ。』


『あ…、ごめん…。』


とっつぁんは一度も目を合わせず、前を見たまま話し続けた。



『…で?
なんで遅刻?』


『…ん〜。
ちょっと…、朝ごはん作ったらね…。時計とかアタシ、全然見てなくて…。』


私は少し恥ずかしかった。

『はぁ?マジかよっ?
それさぁ、お前遅刻免除してもらえよ?』


とっつぁんは笑いながらも優しさをくれた気がした。


『ダ〜メっ!
アタシ心優しぃ〜い子だから、とっつぁん一人残して教室になんか向かえないっ!』



『自分でゆ〜なよっ!』



なんとなく、自然に二人の顔から笑顔が零れた。