急いで学校に向かうと、後ろから誰かが叫んだ。


『走れぇぇっ!』


ふと、振り向くと声の主は猛ダッシュで近付いてきた。


『とっつぁん…。』


『お前っ、なぁにチョコチョコしてんだっ?ほれっ!走れっ走れっ!』


『あっ、うんっ!』


私は言われるままに走った。

追い付けない私に、とっつぁんは引き返すと、私の手をとり再び走り出した。


私は、昨日の事が無かったかの様な錯覚に陥った。


とっつぁんに手を引かれて走り抜けた道が、いつもとは長く感じていた。


学校に着くまで、
彼は何も話さなかったから…。