自分の大胆さに慌て、とっつぁんの体を離れた。


『…ごめんっ!
あっ!あのっ!…これっ!忘れてたからっ。』


私は手に持っていた携帯を見せた。


『…あっ、サンキュ!』


とっつぁんが携帯を手に取ると、どこと無く、ぎこちない空気に包まれた…。



『…じゃぁ…。』


とっつぁんが耐え切れず、口を開くと、私は急に胸が苦しくなった…。



『…とっつぁん?』


『んっ?』


『…私、お母さんの事、好きだったよ?だけどっ、素直になれなかった…。

「お前、かぁちゃんの事、恥ずかしいと思ってんのか?」って、言われた時は、そうだったかもしれないけど…ほんとはねっ…。

私ずっと、お母さんが…』

『…大好きだったんだろ?』


『…え?』


『…そう思うのは、
相手から、でっけぇ愛を貰ったからだっ。』


『とっつぁん…。』


『素直になれなかった事、後悔するぐれ〜ならっ、今からでもいい。かぁちゃん死ぬ程愛してやれよ。必ず届く。いつだって お前の事見てんだ…。』



『…ぅん。』





私は、いつだって助けてくれる彼の言葉を素直に受け止めた。