「何だよ、これ」
震えが止まらない。
生贄の祭壇にあるのは彼女の意識のみ、殻を失った核だけだ。
部屋の真ん中にある大きな試験管の中に溶液が入れられており、一紅い宝石が浮いている。
契約妖魔のコアだ。
「これが、実験の結果、なのか?」
少女の皮を剥いだというのか。
『輝きを秘めた王子様』
「お前、ずっとここに居たのか」
『泣いているの?』
俺の眼からは涙が流れていた。
「お前は悲しくないのか?」
『王子様が来てくれただけで嬉しい』
研究とは、犠牲にしなければならない事もある。
彼女は喜んでいるが、憎くはないのか。
外を見る目、人と話す口、音色を聴く耳を、奪われたというのに。
彼女の帰る場所がないといったのは、確かな話だ。
予想を反した出来事、苦痛を感じるのも当たり前のことだ。
「外にでたいか?」
『思い出の中の風の音を、光の眩しさを、感じたい』
「解った」
機械の操作はわからないので、近くにあった鉄の棒を拾い上げる。
震えが止まらない。
生贄の祭壇にあるのは彼女の意識のみ、殻を失った核だけだ。
部屋の真ん中にある大きな試験管の中に溶液が入れられており、一紅い宝石が浮いている。
契約妖魔のコアだ。
「これが、実験の結果、なのか?」
少女の皮を剥いだというのか。
『輝きを秘めた王子様』
「お前、ずっとここに居たのか」
『泣いているの?』
俺の眼からは涙が流れていた。
「お前は悲しくないのか?」
『王子様が来てくれただけで嬉しい』
研究とは、犠牲にしなければならない事もある。
彼女は喜んでいるが、憎くはないのか。
外を見る目、人と話す口、音色を聴く耳を、奪われたというのに。
彼女の帰る場所がないといったのは、確かな話だ。
予想を反した出来事、苦痛を感じるのも当たり前のことだ。
「外にでたいか?」
『思い出の中の風の音を、光の眩しさを、感じたい』
「解った」
機械の操作はわからないので、近くにあった鉄の棒を拾い上げる。

