妖魔04~聖域~

「このカードを使いたまえ」

ラインが手渡したのは、扉を開けるための五と書かれたキーカード。

「皆は怯えているのだよ。彼女が鎖から解き放たれることをね」

怯えるほどに力があるというのか。

「ラインはどうなんだ?」

「私は探求者だ。今までなかった変化に敏感になる」

ラインはただの研究者じゃない。

研究のためならば、容赦のない事をする。

変化があるのなら、自分の命など投げ出してもいいようだ。

まだ全てを知っているわけじゃないが、声の主は好き好んで連れてこられたようには思えない。

でも、彼女は何故、封印されているのだろうか。

「彼女は初期型であり特別な存在だ。君のように彼女のお気に入りにならなければ、契約しようとすれば暴走する可能性が高いのだよ。だから、私が直に管理している」

ラインは背中を向けて歩いていく。

何故、俺は気に入られたのだろう?

彼女と似たような境遇でもあって、共鳴でもしたのだろうか。

「君には期待をしているよ」

闇の者が闇に溶け込んで消えていく。

本当に悪魔なのだろうか。

どちらにしろ、ろくなものでない。

「ふう」

扉の傍にあるリーダーにカードを通すと、赤のランプは緑に変わる。

ナンバー00と付けられた彼女はどうしているのか。

本当に鎖につながれているのか。

それとも、ラインの言う通り部屋にいるだけで、ソファーにでも座っているだけなのだろうか。

一つだけいえるのは、幸せはないということだ。

彼女は世界から引き離され、隔離され、腫れ物のように扱われている。

回答のある扉は開かれ、光景に愕然とした。