時を刻む音。

自分が生きている証である。

目が覚めると頭が少し痛む。

目が霞んで周りがよくは見えていないが、どこかの一室で寝ているということは解った。

「あ、う」

口が上手く動かない。

「まだ喋らないほうがいい。成功はしたが、安静でなければならない状態だ」

聞き覚えのある男子の声。

「お前は無茶をする」

問いかけに湿りがこもっている女性の声。

朧げに見える温かい人影。

手を伸ばせば、優しく柔らかい手がしっかりと掴む。

一人でないという事に安心した。

「お前は、自分を犠牲にしてまで助けたいのかい?」

口が動かない分、握っている手に力を込めて答える。

「優しい子だね。でも、誰かが悲しむ。覚えておくんだよ」

頭の痛さに耐え切れず、眠りの中へと逃げ込んだ。