妖魔04~聖域~

本当なら吟の肩で運ばれたいのだが、今はそうもいかない。

「どこまで運べばいい?龍姫のところ?」

「外まででいい」

別の話も出来ればしたかった。

でも、叶わない。

今は何もかもが離れてしまっている。

何も聞いてこない以上は、無理に話す必要もない。

例え、子鉄でもだ。

店の中を歩いていくが警察はおらず、外も同じ世界であった。

退魔師という軍団は警察以上の権限があるらしい。

中で起こったことは、何もなかったことにしたのだろう。

「すまない」

三枝ボーリング場から離れた場所で、子鉄から離れて腰を下ろす。

しばらく経っても、体の痛みが引かない。

「いつもと同じように外を出回らないことね」

「そうかもな」

注意をされても、守る事は出来ない。

何故なら、俺は闘いで負けることが出来ないからだ。

「じゃあ、行くわ」

背中を向けて遠ざかっていく。

「ああ」

出来れば、もう会うことはないと願いたい。

でも、それも叶わないだろう。

俺が妖魔で子鉄が退魔師であるのならば、いつかは道が交わる。

「ねえ、あんた、以前に私と会ったことない?」

子鉄が離れた場所で振り返る。

中途半端な感覚しか残っていないから、デジャヴのような状態になってしまうのだろう。

「ないぜ」

あったとしても、この世界ではないんだ。

以前の知り合いに逃げ道なんか作るつもりはない。

戦いに巻き込みたくないから、今の状態でいるんだ。