妖魔04~聖域~

「駄目だ駄目だ、全世界の女が泣いてしまうからな」

「妄想にふけってんじゃねえよ」

強気な発言も、どうにも出来ない状況では意味のない物だ。

「お前さんは強いが、状況を考えないのはアウトだな」

親父がタバコをつけようとする。

だが、阻止するために腕を掴んだのは、今まで黙っていた丸のおっさんだった。

「ウェイト、彼らにこれ以上のHAMMER(鉄槌)は必要ない」

「おいおい、気にならないのかよ」

口元を拭いながらも、やりきれない顔をしている。

「退魔師は妖魔を殲滅する組織ではないですの」

向こうの闘いを止めていたのは、萌黄さんだった。

止めた理由は何か。

何故、最初に止めなかったのか。

「彼らの情報は出回ってはなかったですの。ですが、もういいですの。彼らは人間に危害を加えるような妖魔ではないですわ」

「こっちは大怪我負ったんだがなあ」

「ただでさえ迷惑かかっとんじゃ、これ以上は必要ない言うとるやろうが!」

萌黄さんの細い目が見開かれ、プッチンモードに入ってしまった。

「まったく、洋子のケツを触らなくちゃ気がすまない」

鉄球を子鉄ちゃんに投げて、洋子の隣に座る。

「ごめんなさいですの。あなたたちの実力をしばらく見させていただきました」

見定めのために何もしなかったのか。

動いたのは親父だが、それを利用したことになる。

「何も聞かないのか?」

親父や、子鉄のように、聞いてくるかと思っていた。

「喧嘩を吹っかけたのはこちらですの。これ以上は聞くつもりはありませんですわ」

「早く止めてくれよ」

吟が楽しんだとはいえ、怪我を負ったことには変わりない。