妖魔04~聖域~

次に爆発に巻き込まれれば、体が動かなくなってしまう。

周りに人の姿はない。

先ほどの爆発によって逃げてしまったのだろう。

従業員たちの姿もないところを見ると、警察でも呼んでる最中かもしれない。

俺の拳は首を横に曲げて避けられるが、最初から解っていることだった。

「くそが!」

偶然か、必然か。

俺と親父が動く前に起こった事実。

靴で受けた回転し続けている鉄球が滑って親父へと突っ込んでいく。

至近距離故に避ける事が出来ず、腹部に直撃する。

苦悶の表情を浮かべ隙が出来る。

狙ってやったわけじゃないが、幸運だとるべきだ。

鉄球の上から蹴りを放ち、後方へとぶっ飛ばす。

今の瞬間に、親父がタバコに火をつけていたという場面を見ていない。

「吟!」

吟の方向を見たが、傷男は無傷のままだった。

どうなっているんだ。

吟が一撃も与えられずに、避けてばかりいる。

吟の戦闘能力は高いはずなのに、何故だ。

傷男が吟よりも強かったということなのか。

親父が動けるようになる前に、俺は吟の元へ走ろうとした。

「ぐ」

無茶が祟ったか、俺の体が自然と膝をついて座り込む。

「くそ、こんな時に、ありかよ」

当然といっちゃ当然だった。

親父に一発与えられたのも、無茶の上にある代物だ。

等価交換でいくのならば、体が動かなくのもわかる。

「もう少し動いてくれよ」

立ち上がろうとしたが、鉄球を持っている親父が前に立っていた。

口元には血がついているが、まだ闘える余裕はある。

「おいおい、下が使えなくなったらどうするんだよ」

「人の女にちょっかいかけるくらいなら、ちょっとくらい去勢したほうがいいぜ」