妖魔04~聖域~

笑ってしまうな。

求めても戻らない物を追い求めるほど、愚かなものはない。

戻らない物を手に入れようとしては駄目だ。

前に進まなければならない。

俺は吟と出る。

絶対だ。

「吟、まだやれるか?」

「私は楽しいと言ったはずだ」

片腕が下がっているが、やる気は嫌って程伝わってくる。

「そりゃ良かった」

横っ腹が痛むが、俺も戦意を喪失したわけではない。

「お前さんの闘う姿を見るのは久々だな」

親父が吟に話しかける。

「体のぶつかり合いは好きアルよ。それこそ、性行為に留まらずアル」

吟がもう一度、傷男に突っ込もうとしたところ、子鉄が鉄球で狙っている。

「ち!」

「坊主、余所見はいけないぞ」

親父が中段突きを仕掛けてくるが、それを払いのける。

「うるせえ!このボケ親父!!」

吟の事が気になっているのに、邪魔されて苛立ちが止まらない。

「お前さんみたいな、クソガキを息子に持った事はない」

中段回し蹴りでお返ししてやるものの、それを受け止められる。

そして、銜えているタバコを吐きかけて来る。

危ない物だと気づいた時には、傍にあったボーリングの玉をタバコに向けて投げつけていた。

ボーリング玉にぶつかったタバコが爆発し、音を立てて破裂すると体に破片がめり込む。

「ぐあ!」

破片が刺さって血が吹き出し、火傷を負っている。

親父はすでに非難しており、爆発と破片の被害はまったくない。