妖魔04~聖域~

「犬神君、あなたはこの世界では小鳥よ。ただ、力を振り回すだけでは飛び立つ事なんて出来ないわ」

「俺に、行動するなというのか?」

「侵食は完全ではないわ。時間をかけてゆっくりとするものよ」

「さっき世界はすぐに滅びないと言ったな?」

「ええ」

「明日、滅びるとしたらどうするんだ?」

「面白い事を言うわね。でも、小学生が屁理屈を言っているように聞こえるわ」

話していると、胸糞が悪くなる一方だった。

だが、俺一人の力ではどうしようもないのは事実だ。

「上辺だけの賛同でもいいじゃない。それが愚かな選択と気付いた時には、泣くのは自分なのだからね」

俺よりも上手なので、従うしかないのか。

だが、こいつだけには気を許さない。

「どんな行動をしている?」

「そこまでは言えないわ」

「何だと?」

すでに、人間を利用しようと言っているだけでも、危険だと思うのだがな。

そして、今の俺は秋野の駒でしかないという事だ。

「時機に犬神君は動けるわ」

「いつまで待たなければならない?」

選ばれたというのにも関わらず、街で何をしろというのか。

「妖魔だけの世界になる前に、見識を広めるのも悪くはないと思うわ」

「人間達の愚かな姿を眺めろとでもいうのか?」

「案外、住み心地がいいかもしれないわ」

「ふざけるな」

体の中に苛立ちが立ち込めて、秋野を睨みつける。

だが、秋野は気にした様子はなく、至って先ほどと変わらない。