妖魔04~聖域~

「案を練る時間は十分にあったはずだ」

「あら、私だけじゃないわよ。他の地域でも動いてないもの」

「何だと?」

改革する気がないということか?

「冗談よ。仕事に関してそこまで怠慢じゃないわ」

「俺は今からでも動きたいんだ」

「でもねえ、まだ完全な段取りが取れてないからねえ」

「動いたところまででいいから教えろ」

埒が明かない。

一日でも早く、妖魔達の暮らす世界を広げたい。

「その前に怪我を治しましょう。付いて来て」

秋野は一人、歩いていく。

見失えば、また探す手間がかかってしまう。

俺は燕を置いて、秋野の背中を追っていった。

保健室というプレートが扉の上に差し込まれた場所へと入る。

燕は珍しくついてきていないようだ。

「そこに座って」

言う事を聞かなければ進む事が出来ないのなら、今だけは従っておく。

ソファーに座ると秋野が破いた制服を取って、様子を見る。

血は抑えられているが、収まったわけじゃない。

「酷くやられたわね」

痛そうな顔をしているが、本当に思っているのかわからない。

「やるのなら、さっさとしてくれ」

「傲慢ね」

秋野の表情や言動を聞いていると遊ばれているような気がして、気分が悪い。

「この傷、病院にいったほうがいいわ」

「なら、何で連れてきた?」

「少しでもあなたの傍にいたいから」

「いい加減な嘘をつくな」

余計な事をして時間を稼ごうとしているのか?