妖魔04~聖域~

「仲間か」

「そうね」

退魔師の連中にも色々な人間がいる。

私服の女は気性が荒い女とは違う。

場を治めるためだけに、存在する女だ。

「やるつもりか?」

「他に仕事があるのよ。それに、あまり大事にしたくないのはそっちも同じでしょ?」

今、女にかかっていくことは得策ではない。

俺の能力は一対一なら効果的だが、複数相手になると難しい。

気性の荒い女は殺気立っているが襲ってこない。

私服の女が目で制しているせいだろう。

相手にやる気がないのなら、焦る必要はない。

私服の女と戦うことは、今じゃなく後でも良い。

大勢の足音が近づいてきている。

さすがに、大事にまで発展した状況だ。

誰も来ないほうがおかしい。

俺は燕を肩に乗せる。

放っておいても良かったが、起こった事を簡単に吐いてしまいそうだ。

「あんた、改革派ね」

私服の女が知っていたとしても、組織の情報は常に隠匿していなければならない。

悪あがきにも思えるが、喋るのは組織の一員として失格だ。

時間が経つに連れて、制服を着た人間が集まり始める。

中には、笹原妹の姿があった。

戸惑いの感情が見えているが、関係のない話だ。

笹原妹の方向へ走れば、自分が何かしらの組織に属していると言っているようなものだ。

その場から逃げるように、廊下の窓から飛び出る。

外には人間の姿はなく、廊下に密集していた。

「ち」

血が止まらない腕の傷が疼く。