速い。
だが、ナイフの軌道が縦か横さえ賭けで当たっていれば、全てはこちらのものだった。
そう、俺は賭けに勝った。
ナイフが持ち替えられていれば、それで良かった。
持ち替えられていなくても、それで良かった。
どちらにしても、俺にとっては好都合でしかないのだ。
「後者のほうが、若干ありがたみのある攻撃だったけどな」
「な」
不利だった状況は、有利な状況へと転換させる。
巻かれた手錠を盾にして、ナイフを防ぐ。
「ち!」
女の攻撃は鉄をも斬るが、腕までは到達しなかった。
音をたてて、割れた手錠が落ちる。
「面倒くせえことばっかりするんじゃねえよ」
女がもう一度攻撃しようとするが、自由になった腕は俺の利き腕だ。
女のターンは終わっていると言ってもいい。
女だろうが男だろうが、戦士であるのなら関係ない。
顔面に軽くジャブを繰り出し、緩んだところでボディーに一発。
「おご」
ナイフは握ったままだが、足の裏で手首を押して壁にぶつける。
手首の骨が折れ、ナイフは床へと落ちる。
「俺を殺す覚悟があるのなら、自分が死ぬ覚悟も出来てるはずだ」
次は首を蹴って、骨を折って殺すつもりでいた。
だが、煙の外から別のニオイがすると、何かが音を立てて飛んでくる。
俺は女から飛ぶように離れると、間を縫うように何かが通り過ぎていった。
煙はすでに晴れており、何かが飛んできた方を見る。
「面倒くせえな」
煙の外側に立っていたのは、髪が肩まである私服姿の女だ。
私服の女は、感情のない眼差しで見ている。
だが、ナイフの軌道が縦か横さえ賭けで当たっていれば、全てはこちらのものだった。
そう、俺は賭けに勝った。
ナイフが持ち替えられていれば、それで良かった。
持ち替えられていなくても、それで良かった。
どちらにしても、俺にとっては好都合でしかないのだ。
「後者のほうが、若干ありがたみのある攻撃だったけどな」
「な」
不利だった状況は、有利な状況へと転換させる。
巻かれた手錠を盾にして、ナイフを防ぐ。
「ち!」
女の攻撃は鉄をも斬るが、腕までは到達しなかった。
音をたてて、割れた手錠が落ちる。
「面倒くせえことばっかりするんじゃねえよ」
女がもう一度攻撃しようとするが、自由になった腕は俺の利き腕だ。
女のターンは終わっていると言ってもいい。
女だろうが男だろうが、戦士であるのなら関係ない。
顔面に軽くジャブを繰り出し、緩んだところでボディーに一発。
「おご」
ナイフは握ったままだが、足の裏で手首を押して壁にぶつける。
手首の骨が折れ、ナイフは床へと落ちる。
「俺を殺す覚悟があるのなら、自分が死ぬ覚悟も出来てるはずだ」
次は首を蹴って、骨を折って殺すつもりでいた。
だが、煙の外から別のニオイがすると、何かが音を立てて飛んでくる。
俺は女から飛ぶように離れると、間を縫うように何かが通り過ぎていった。
煙はすでに晴れており、何かが飛んできた方を見る。
「面倒くせえな」
煙の外側に立っていたのは、髪が肩まである私服姿の女だ。
私服の女は、感情のない眼差しで見ている。

