改革派とテンプルナイツの板ばさみ状態のようだな。

「可哀想な奴だな」

怒りよりも哀れみの声が出てしまう。

「お前は何もわかってない」

男と女は背中を向け、俺から離れていく。

「逃がすと思っているのか?」

「今の時間を大切にしろ。俺に構ってるなら、自分の目的のために費やせ」

それでも、俺が追いかけようとすると、髪の長い女が間に飛び込んでくる。

「燕」

「お前の苛立ちは私の体にぶつけるんだ。そうすることで、私は喜ぶぞ」

燕は俺の行こうとする方向ばかりに出てきて、前に進めない。

「組織の邪魔をするなら許さん」

「私はお前が好きだぞ。だが、世界の行方は子供に任せてはならないんだ」

燕ののん気な顔に真剣さはない。

「ふざけるなよ」

怒張した脳内のアドレナリンは溢れんばかりだ。

「俺が子供だと?お前に何が解る?」

「解るさ。私はお前が好きだからな」

「ふざけた戯言を言うのは止せ!毎回面倒なくらい絡んでくるな!」

燕は止めようとはしない。

「私は唐揚げが食べられる世界がいいんだ。唐揚げを作る奴がいなくなったら絶望同然だ」

「燕、俺達が負けるとでも思っているのか?」

「勝とうが負けようが、唐揚げを作る奴はいなくなる。お前を唐揚げ責任罪でひっとらえる」

手錠を右手にかける。

「私達は生まれた頃より一心同体。これでより絆も深まった」

飛鳥が左手を上げて見せると、手錠がはまっている。