ベッドの上で目を覚ます。

いつの間にか朝が来ていたらしい。

昨日も夜遅くまで、色々と試していたので妙な疲れが残っている。

「まだ眠いな」

隣には裸のままのお吟さんが眠っている。

お吟さんは俺より早く起きた事は一度たりともない。

年寄りになれば早寝早起きになるというが、迷信にすぎないのだろうか。

失礼な事を言ったと心中で詫びながら、ベッドから降りて服を着る。

「あれ?」

旅によって古くなった物ではなく、新しい服だった。

少しだけデザインが変わっている。

コートも少し重くなっているが、細工をしているのか。

旅をしていく内にコートがないと安心できなくなっている。

「あの時からか」

親父のコートを身に着けてからというもの、自分にもコートが好きになったといえよう。

「親父のっていうのが癪だがな」

髪は変身を解いたら元に戻っていて、少し安心した。

ハゲのままは少し気が引けたからな。

変身すると多少は自己修復するのか?

「ありがたい話だ」

「うーん、ザー」

お吟さんが危険な寝言を言いそうになったので、手で口を塞いだ。

「朝から、軟体動物臭い寝言は勘弁してくれ」

「モゴモゴ」

手の内を舐められたことに驚き、咄嗟に離してしまう。

「人の寝込みを襲うなんて、お前の性欲は無限大アルな」

「お吟さんには敵わないさ」

お吟さんにも新しい服が用意されてあり、着込んだ。

自前のハブラシで歯を磨いた後に、職員に食堂へと案内される。

食堂には色々な契約妖魔やチューナーが集まっているようだ。

少し、高校を思い出した。