でも、俺の妄想劇はあっという間に終わった。
夏休みの終わりが近付いた頃、隣に大家族が引っ越してきた。
部屋に沢山の荷物を詰め込む姿は、俺の夢を壊した。
お隣りさんは、妹と同じくらいの男の子を抱っこして小学生の女の子と挨拶にきた。
ご挨拶の品は、何の楽しみにもならない洗濯洗剤。

「新しく引っ越してきたお隣りさん、こどもさんが4人も居るんですって。騒がしいとは思いますがよろしくお願いしますですって」

珍しく父が早く帰ってくると母はそう話した。