僕と私で友達

そりゃ、男ですから声変わりしますよ。
まぁ鈴とは、ここ何年まともに会話した事がないから。

「噂で聞いたぞ、弓道部部長の澤君と付き合ってるんだって?」

「そんな訳ないじゃん…澤が付き合ってるのは一個下の長谷さんだよ」

鈴の色気づいた話しはデマだった。

「へぇ、じゃあアイツもチャンスだな…」

「アイツって誰?教えて」

俺もつくづく、お人よしだ。

「明日この問題集、5組の真山に届けたら教えてあげるよ」

鈴の不服そうな顔を見下ろす。目の下には、まだうっすらと10年前の事故の傷痕が見えた。

「じゃあ、もういい。早く行けよ」

弓で俺の鞄を突いた。