僕と私で友達

翌朝、俺は汗をびっしょりかいて目が覚めた。
父さんは、朝から冷蔵庫の中を掃除中。

「おはよ、成海。昨日は悪かったな…早く帰れなくて、電車も止まってしまってなぁ」

昨日の大停電は、関東地区のみに起きた現象で田舎にいる母さん達は今朝のニュースを見て知ったんだとか。

「昨日の夜、鈴ちゃんのお兄さんが見つけてくれなかったら父さん危うく警察に行くとこだったよ」

ワイシャツにズボンにネクタイを首に結ばずぶら下げたまま、冷蔵庫の中をチェックする父の姿は何とも滑稽だった。

「ごめんなさい…」

だって、怖かったからなんて父さんには言えなかった。
母さんが作り置きしてくれた食べ物も、全部ダメになってしまった。

「させと、今日は忙しいが…早めに切り上げたら晩飯食いに行くか!!」

いつもの優しい父がそこに居る安心を感じた。