逞もおとなしくなった事だし……

と、俺は自分でケーキを切って

「ほら、食べないのか?」

と、言った。

まるで、飼い主から『よし』と言われた飼い犬のように

パァっと顔を明るくさせて、逞は俺の方へ近寄ってきた。


二人とも甘党だから、ちょっと大きめのケーキだったが、ペロリとたいらげた。

途中、俺の顔についたクリームを、逞が舐めてきて……

「俺のも舐めて?」

と、言ってわざと顔につけた、逞の生クリームを恥ずかしながらも舐めてやって……


あのさ……

皆に聞きたいんだけど、俺達ってバカップル!?



俺の家にあったDVDを観ていると

突然逞が

「こっち来て?」

と、手招きをした。

いや、隣で観てるんだから、もぅ充分近いぞ?

まさか……

なんかまた変な事するつもり?

とか、思ったけど

恐る恐る、逞に近付いた。

互いの息がかかるところまで、近寄って

「目、閉じて?」

って言うから、ギュッと目を閉じて……

首筋に逞の手がかかる。


えぇ!?
何何何っ?

やっぱり何かされちゃうとか?


でも、すぐに逞の手は離れた。

あ……なんだ……って、別に何かを期待してた訳じゃないからな!!


「目、あけて?」

逞が言ったから、静かに目をあける。

そして、気付いた。

「っ……」

気付いたけど、上手く言葉になんなかった。

俺の首には、チェーンに繋がれた、シンプルなリング。