夏休みも中盤に差し掛かったある日。


「はい、あーん?」


逞が、俺を後ろから抱き締め、俺の口に抹茶アイスを運ぶ。


「あ……あーん……」

口いっぱいに抹茶の味が広がる。


何かさ……

幸せなんだけど、滅茶苦茶恥ずかしいんだけどー!!


事の発端は、2時間前まで遡る。


「そーいや、お前今日誕生日だったじゃん!!」

俺の部屋にあった漫画を読んでいた逞が、思い出したように叫ぶ。


「あぁ、確かに今日は俺の誕生日だけど……」

逞には、中1の時に飴玉一個貰っただけで、それ以来「おめでとう。」も、ないから今年も忘れてるだろう。と、思って言わなかった。

だって、自分から

「誕生日なんだけどっ!」

なんて言ったら、プレゼント期待してるみたいでやなんだもん……


でも、逞は言って欲しかった。と、機嫌を悪くした。


「んだよー。前もって言ってくれたら、プレゼントとか用意するのに。」

ぶぅとふくれる逞。

逞の気持ちは凄い嬉しいけど

「プレゼントなんて、いらない。逞が側にいてくれたら、それで良い……」

恥ずかしかったけど、笑顔でそぅ言って、逞に抱きついた。


「ただ、今日はちょっと、甘えさせて欲しいかな……なんて(笑)」

と、付け足して。


そぅ、冗談混じりで言ってみたんだ。


まさか、本当に甘えさせてくれると思わなかったから。


付き合って……何日だろ?

いつもは、俺が甘えさせてるって言うか……

アイツが勝手に甘えてくると言うか?