なーんて、逞に言ったら何て言われんだろ?

は?お前、熱あんのか?

……

言われそぅだなぁ……

それか、全く無視だな。


まぁ、一人にさせてごめんな?寂しかったか?

って言われても、ビックリしちゃうけど。



てか、あれ?

一面、見渡す限り、海。


……綺麗だなぁ……


じゃなくて!


俺、沖に流された!?


急いで、海岸に戻らないとっ!!


ちっちゃくだけど、海岸が見える。

そんなに、遠くではないらしい。


俺は、泳ぎ始めようと、した。


「っ!?」


右足に激痛がはしる。

つった!?

ヤバい……この状況で足をつるなんて……

冷静に、冷静に。

頭では分かってるはずなのに、身体が言う事を聞かない。

つったショックから、俺はパニックを起こしていたんだ。


手足をバタバタとさせる。

呼吸が上手く出来ない……

あれだけ穏やかだった波も、沖に出れば強さを出していた。


何度も、何度も波にのまれる。


呼吸がさらに苦しくなる。


もぅ、駄目だ。
かすれゆく意識の中で、半ば諦めかけたその時。

俺は誰かに助けられた……らしい。

誰かの腕の中に包まれている。

……逞……?


逞だったら良いなぁなんて思いながら、とりあえず助かった事にホッとしたのか、俺はそのまま意識を失った。