肉を切らせて骨だけでも逃げ切るしかない。意味違うけど。
「…多架斗くんの学ラン」
「―――っ!!」
恍惚とした表情で学ランの匂いを嗅ぐ愛沢から即座に学ランを剥ぎ取って逃げる。ダメだ、この女ヤバい。学ラン一枚でさえ残しておけない。
後ろから「待ってよ多架斗くんっ! 袖がほつれてるよ!」という愛沢の声を聞きながら俺は全速力で走った。