「雑誌の誌面に載るなんてすっごく名誉なことなんだよ!!女の子の憧れなんだよ!!それなのにお姉ちゃんときたら…。シミのついたジャージを平気で着るし、私服も相変わらず地味だし…。私…全国の女の子に申し訳ない!!」


俯いて今にも泣き出してしまいそうな唯香にオロオロとうろたえてしまう。


「ゆ…唯香ちゃん…?」


冷静な唯香がこんなに取り乱すなんて。


ずっと私のことを考えてくれていたのかと思うと、キュンと胸が高鳴った。


とうの昔に忘れ去られていた姉としての庇護欲がかきたてられる。


ヤバい!!妹萌えだ!!


「ごめんね…お姉ちゃんが悪かったよ…」


うん、だからね。なるべく早くTS返して欲しいなぁ…。


唯香はさっきとは打って変わって花が咲いたようにパアッと顔を輝かせた。


「読んでくれる?」


「読む読む」


安易に返事をしてしまった後で、ちらりと雑誌を眺めた。


一体何冊あるんだよ…。


たらりと背筋に嫌な汗が流れる。


「言っとくけど、私スパルタだからね」


唯香の地獄のオシャレッスンはその日の深夜まで続いたのだった。