……うーん。もうよくわかんない。


水瀬さん、あなたは何が言いたかったの?


佐田さんがピグマリオンで。


私がガラテアなら。


ふたりは恋に落ちる運命にあるとでも言いたいのか?


……いやいや。


「ないない、それはないってー」


ありえませんよ、水瀬さん!!


ここが図書館だということを忘れて、思わずノリ突っ込みをしてしまう。


想像しようとすればするほど難しく思える。


妄想なら得意なんだけどなー。


妄想の中の私は既にピグマリオンになりきって、1/1スケールのソウイチさんの像を作っている。


乙女ゲーの神様は佐田さんに虐められる私を哀れに思って、ソウイチさんを人間にしてくれるのだ。


「ソウイチさん!!」


「理香ちゃん!!」


ふたりは末永く幸せに暮らしたのでした。ちゃんちゃん。


妄想の世界から戻ってきた私は静かに本を元の位置に戻した。


……ちょっと虚しくなってきたかも。