「本当に申し訳ありませんでした」
嵐子が雑誌の編集長さんと一緒にお店に謝りに来たのは、ミスキャンの次の日のことだった。
謝罪の場に鉢合わせたのは本当に偶然だった。
私は昼過ぎに佐田さんからメールをもらうやいなや、慌ててお店へと向かった。
“掃除しに来い。”
たったそれだけ文面がこんなにも嬉しいと感じるのは、騒動の発端が私にあったからだ。
「佐田さん!!」
……美容院の扉を開くなり目に飛び込んできたのは、佐田さんとあずなさんに頭を下げていた嵐子と雑誌の編集長さんだった。
編集長さんはスタイリッシュな美人で、パンツスーツの似合うキャリアウーマンだった。
「嵐子、行くわよ」
「……はい」
促されるように背中を叩かれた嵐子が大人しく従う。
嵐子が犬だったら、耳が垂れてシュンとしていたに違いない。



