どこか遠くから、 歌が聞こえる。 もやがかかったようにボヤけた頭では、 何も考えることはできなくて。 子守歌に乗って漂うように、 ふわふわと聴き入っていた。 突然、プツンと音が途切れる。 そのとたん、 体が重く沈む。 その時、 再び歌が流れ出した。 これ…ケータイ? ようやく少しだけ動き出した頭。 手は枕元においたケータイを取り、通話ボタンを押していた。 「はい…もひもひ…」 呂律の回らない声が出る。 『俺』