何のために呼びとめられたのか、サッパリわからない。
だから、
あたしは彼、笹山くんの名を問うように呼んだわけで…。
そのとたん、
笹山くんの眉がピクッと動いた。
「俺の名前、知ってるのか?」
「そ、そりゃ、同じクラスだし…」
地を這うような低い声に、
あたしの心臓はドキドキと脈打つ。
彼の名前は笹山龍二(ささやま りゅうじ)くん。
あたしと同じクラスで、矢治くんと同じサッカー部だ。
言いよる女子にニラむ姿は見たことあるけど、
ろくに話したこともないあたしは、こんなこと初めてで…。
あたし、変なこと言った?
言ってないよね?
なんなのよ、もう~!!



