一男三女物語

早紀が家に帰り玄関のドアを開けると三人が一斉に出迎えた。

「早紀!早かったね?」

真紀が心配そうに聞いた。

「うん!田辺さん仕事が入っちゃって、でも幸せよ!田辺さんといっぱい話せたし」

「話ししただけ?」

亜紀が意味あり気に言った。

「うん!田辺さんの手料理ご馳走になったわ!私が今度は田辺さんに手料理ご馳走するの!」

「おねぇちゃん!それはやめたほうがいいよ!百年の恋も一度に覚めちゃうわ!」

亜紀は笑いながら早紀に注告した。

「明日からみんなの食事を私が作るわ!」

「それは止めて!」

三人は一斉に口を揃えて言った。毎日、実験台にされたらたまらない。

「早紀!料理教室にでも行ってみる?」

「そうするわ!田辺さんに美味しい料理作るためならなんでもするわ!」

早紀は、真剣な目をして言った。

三人は早紀の今度の恋が本物であることを確信した。