一男三女物語

「わかったわ!頑張ってみるわ!」

「ママ!パパは帰ってくるよね?」

宗一郎が泣きそうな顔をして言った。

「もちろんよ!そうちゃんは心配しなくていいわよ!」

「じゃお昼ご飯食べようよ!お腹空いたよ!」

「そうね!もうこんな時間なのね?真紀なんか昼ご飯作ってくれる?」

時計の針は午後1時を回っていた。

その時祥子の携帯が鳴った。

着信番号を確認したが不通知着信…

「はい!小野です。」

「奥さん!取引の場所と時間を言うからなぁ」

「その前に主人の声を聞かせて!」

「そう来るだろうと思ったよ!ちょっと待ってなよ!」

そう言ってしばらく間があって……

「私だ!私は無事だ心配するな!」

「あなた!」

「どうだい?久しぶりに聞いた亭主の声は?それじゃ取引の時間だが、今日の夕方五時に池ノ上公園の東トイレ前のベンチだ!いいか?」

「わかったわ!」

「それから奥さん!あんた一人で来るんだ?いいな!もし、警察にタレ込んだら旦那は東京湾に沈んでもらうぜ!」

「わかったわ!絶対主人は無事に帰してください!」

「わかったよ!」