「なんですか?」
「なんでもかんでも、
最初から駄目、無理、
って考えてたらきっと
前に進む事なんて出来ないよ。
無理だって思うかもしれない…
それでも、前に進もうって、
1つずつ解決していこうって
思わないと。
なにも変わらないと思う」
「愛花音さん?」
「って、あたしも自分一人だけで
前に進む事出来なかったの。
拓が居なかったらあたしはきっと
いつまでも真っ暗な世界に
居るだけだったんだよ」
「拓兄…愛花音さんは拓兄に?」
「そうよ、
拓はあたしの全てを理解してくれてるわ」
「でも…私は愛花音さんみたいに
勇気なんてないですから…」
「舞莉ちゃん、
さっきから何回もあたし言ってるよね
考えてみてって…」
「考えなくてもきっと無理ですから…」
「あのね、なんであたしが
舞莉ちゃんの部屋に居たと思う?」
「拓兄に頼まれて?」
「そう、
じゃぁなんで拓があたしを呼んだと思う?」
「それは…」
「拓は“きっと舞莉は俺に気ぃ使って
本音吐けねぇだろうから
女同士で話してくれ”
ってすっごい悔しそうな顔してたわ。
拓は舞莉ちゃんの事
本当に心の底から心配してるよ」
「そんなに?」
「うん、
あたしが勇気を出せたのは
助けてくれる人がいたから。
力になってくれる人がいたから。
あたしが助ける。
舞莉ちゃんの力になるから、
少しずつでいいから進んでみよう」
「はい…ぅう…」
私の頬にはいつの間にか
涙がながれていた。
それはきっと前に進む覚悟が
できたからではないかな。
力になってくれる人がいるって
分かったからではないかな。
心が軽くなった気がする…。
「愛花音さん…
ぁ、ありが…とうござい…ます」
私がそう言うと愛花音さんは話始める時よりも
もっと優しく微笑んでいた。



