紅佐離


「もしかして…何ですか」

「お前は金蝶?」

「金蝶?何ですか?
 金色の蝶々ですか?」

「なんでもねぇ…」


ふぅー…。
なんとかなりました。
まぁ、確実に疑ってるけど…。

その辺は気にしない方がいいね。
カイは口が開けないから、
目がでかくなってたし。

超ウケる。

拓兄は黙って私たちの様子を見ていた。


「舞莉、ちょっとは落ち着いたか?」

「あ…はい、もう大丈夫です」


本当は大丈夫なんかじゃない。
でも、これは隠し通す。

自分で、ちゃんと整理するんだ。
だから…

「そうか、それなら良かった。
 つーかカイ、
 お前いつまでガムテープつけてんだ?」

「んんんん、んんっんんんんん」

「なんて?」


拓兄は私に聞いてきた。
なんでみんなわからないの?
不思議…


「えと、奏がいいって言うまで…
 だそうですよ」

「へぇ…じゃぁ一生駄目だ」

「んんん!」

「悪魔!…だそうです。
 というか、私を使って会話しないで下さい」

「だって俺らコイツがなんて言ってるか
 不明だからな。うんうん」


拓兄がカイを指差して言った。
というか、
自分で言ったことに対して一人で
納得しないでいただきたい。


「そういう事だ」

「そうですか。では、私は部屋に戻るので」

「おぉ」

「行って来い」

「んんんん」

おい、カイよ。
“バイバイ”って何さ…!

もう私に一階に戻って来んなっちゅー事か?

そう思いながら
、カイを睨んで自分の部屋に戻った。