「そんなこと言うなよ。マイブームなんだよ、楽しいぞ」
「佐々木、本当にこんな奴について行けんのか」
「大丈夫。無理そうだったら置いて帰る」
憂も稜牙君も和十君の事をスルーして話を進めてる。
というか…憂、凄いことをサラっと言ったな。
「あぁ。そうしろ、置いてくのが1番」
稜牙君もサラリと。凄いな。
「お前ら!俺は何なんだ!置いて帰るって!だったら最初からついてくんなよ、俺1人で行くし」
最後の方はもうやけになってるな。目が潤んでるし。二人していじめすぎだな、でもなんか懐かしい気持ちになれてしまうこのやり取り。
「ごめんごめんって。ちゃんと付いていくから」
憂は必死に笑いを堪えながら謝ってる、が、これは謝罪に入るのか怪しいレベルで笑っている。
「じゃ、あたしと和十と行くけど舞莉はどうする?」
「え、帰りますけど…」
「だよね…変な事聞いて悪かった。んで、稜牙は?」
「帰る」
「そ、じゃあ、途中まででいいから舞莉を送ってあげてね」
「なんで」
「理由が必要?とにかく送りなさい。かわいい女の子にはいつだって紳士でいなさいよ」
「…お、おう」
憂と稜牙君の会話、よく聞こえなかった。けれどおそらく憂は稜牙君を言いくるめたんだろうな。
だって、少しだけだけ憂の笑顔が黒かったから。



