「よしっ行くぞ」
1人の男が声を発したのとほぼ同時に
私の手を誰かに引っ張られた。
私は引っ張られるままに
男たちについて行ってしまった。
と言っても、近くの公園で
手は放されたので安心した。
っていうか、
安心なんてしちゃいけない。
「お姉さん、ごめんねえ。
すぐ此処に連れて来る
つもりだったんだけど…
話に夢中になっちゃって」
私の手をひっぱって此処まで来た男が
私を見てニヤニヤしながら言った。
正直、その顔が気持ち悪いと
思ったので注意をした。
「あの、その顔…
やめた方がいいですよ」
「う~ん、ごめんね。
この顔はどうにもなんないのよ」
ちょっとオカマ口調で喋りだした男。
キモッ。
「…私、そろそろ帰りたいんです…
というか帰ります」
私は公園の時計を見て、
帰った方がいいと思ったので言った。
でも、正直帰りたくない。
帰ったら、
また拓兄に当たってしまうのではないか
と心配だし。
逃げているだけかもしれない。
だからと言って此処に居るのも
なんか嫌だし。
私は考えながら公園を
後にしようと思ったんだが
そう簡単には行かないものなんだ。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょい待ちぃや
誰が帰っていい言うたんや!
お前さんはアホかいな」
「失礼ですね!
私はそこまでアホじゃないですよ
学校のテストの順位だって
半分よりは上なんですからね」
「いやいやいや、
誰もそんなこたぁ聞ぃとらへんのさ。
勝手に帰んなっちゅぅ事」
「え?でも、貴方達が勝手に
つれてきたんじゃないですか
私の都合なんか何にも聞かないで」
「せやけど…だから…
俺らと遊べ言うとんのや」
「なんで、キレるんですか?
短気なんですか?
短気は嫌われますよ」
「そりゃあ、お前さんの勝手な意見やろ。
俺は女の子みんなの意見が聞きたいんや」
「みんなの意見なんて知らないです。
一人一人調査でもしろって言うんですか」
「誰もそんな事言うとらんが
お前さんの耳はおかしいんか?」
ドカッ



