「ねぇ…貴方誰ですか?」
私は気になってしまって質問をした。
「さぁ、誰だろうね?
てか聞いても分かんねーよ」
男から返事がきた。
私が返事をして欲しかった
相手からではない。
返事をしてくれた男の言う通り
わからないよね。
でも、やっぱり気になる。
何処かで見たことがあるはず。
「…わからないと思いますけど
…教えて下さい」
私はなるべく落ち着いた声で答えた。
「教えちゃってもいいんじゃね」
「どうせ俺らの事なんか分かんねーだろうし」
「だな…」
男たちが小さい声で話し合っている。
と言っても周りがとても静かなので、
丸聞こえだけど。
すると、一人の男が大きな声を出した。
「って、おい!
何のんきに話し合いなんかしてんだよ
目的が違うだろ」
「「あ」」
男たちはなにかを思い出したように
顔を見合わせている。
そんなに重要なことなの?
私は遠慮がちに聞いた。
「どうしたんですか?
大丈夫ですか?」
「え…あ、そんなに大丈夫じゃないかも…
てか俺ら一緒に遊ぼって言ってんのに
呑気に会話なんてすんなよな」
「確かに…大失敗…
けど本人気付いてねーし、
いいんじゃね?」
「だな…」
男たちが会話をしているのを
私は黙って聞いていた。
というか、気付いてないって。
誰の事なの?



