紅佐離


「ほれ、どーぞー」

「すいません先輩、失礼します」
「お願いします」


私たちは先生の車に乗った。
少しすると緊張もほぐれてきて、
一つの疑問が浮かんだ。

それは…淳哉の事。


「拓兄、淳哉は大丈夫なんですか?」

「あ…あぁ、大丈夫だ」

「そうですか…」


それ以上拓兄は何も言わなかった。

私はもっと詳しく知りたいけど。
隠しているように見えるのは
気のせい?

約10分程会話がなくとても静か。

そう思っていたら先生が話し始めた。


「桜沢は、何者なんだ?」

「教えません」


いきなり何かと思ったら…

教えるわけにはいきません。
例え、拓兄の先輩でも…
教えてもいいような気もするけど。
ゆるんではいけない。


「えぇー、拓教えてくれぇ」

「え…俺に振るんすか、
 でもさすがに教えれませんよ。
 舞莉から聞いて下さい」

「ケチだなぁ…」


その後も先生は文句を言っていたから。


「絶対秘密にするって約束して下さい…」

「するする!
 絶対誰にも言わねぇ」

「じゃぁ…」


拓兄はこの様子を静かに…
黙って見ていた。

見守って居てくれました。