-舞莉の夢の中-
此処は何処?
私は少しずつ足を進めた。
そこには思い出の…
大切な場所へ繋がっていた。
青龍の溜まり場…。
そこにはあの頃の記憶のまま
鮮明に表わされていた。
バイクを手入れする仲間たち。
私が進んでいくとみんなが挨拶をした。
「舞莉さん、どーもっス」
「はよーございます」
男だけ、女は私1人。
でもあいつらは私を皆と…
男と同じように扱った。
別に嫌ではなかった。
みんな同じ扱いだったから。
みんな優しい奴らだったから。
見た目はそりゃ怖い。
でも心はすごい優しかった。
そして倉庫の中へ入ると大きな椅子に
雷斗が偉そうに座ってた。
「おう舞莉、はよ」
「はよ」
雷斗と挨拶を交わし、
私は雷斗の隣にある小さな椅子に座った。
私は総長、そして雷斗は副総長
立場的には私の方が完璧上。
だけど喧嘩…仲間を守る時以外、
倉庫の中だけでは雷斗の方が
立場が上のように思えた。
私はそういう関係が好きだった。
ハッキリした地位とかなくて
みんなで仲良く馬鹿騒ぎしてるのが。
「なぁ舞莉」
「なに?」
雷斗から声をかけたくせに
なかなか続きの言葉を発さない。
「どうしたの?」
「舞莉は何が一番大切?」
いきなりの質問に戸惑った。
「そりゃあ、みんな。仲間だよ。
当たり前でしょ」
「俺も仲間大切だ。
特にお前はな。
でもいつか別れがくる奴もいるだろうな。
だからこの青龍は最高の族だったって
俺らみんなの心に刻んでさ…
最高にいい、
綺麗な思い出にしような」



