「起立、礼」
日直が号令をかけて本日の学校は終了。
部活動に入っている人は部活があるらしいが、私は帰宅部のためこのまま帰宅する。
勿論憂も帰宅部である、いつも一緒に帰っている。
「佐々木、桜沢。一緒に帰ろうぜー」
和十君が声を出した。
呼び捨てでいいと言われたがなんだか少し抵抗があった。“君”をつけて呼ぶことにした。勿論、稜牙君も同じ。
というか、和十君たち部活入っているだろうに、行かなくていいのだろうか。
「え~…。舞莉、いい?」
「……は、はい」
帰りは憂と2人が良かったけどせっかくの誘いを断ることはできない。
「じゃ、俺ら下駄箱んとこで待ってるぞ」
「はい、はい」
憂は軽く返事をしていた。
「舞莉…あんた本当は嫌でしょ?」
なぜわかるのか。顔には出さないように頑張ったのだが。
「なんで」
「だって、そんな感じのオーラ出してるし」
無意識って怖い。
和十君たちに気づかれただろうか。気をつけないと。
「あ、多分和十と稜牙は気づいてないと思うよ。あたしが何年舞莉と一緒にいると思ってんのよ」
憂とは小学校からの仲良しで、クラスが離れてしまっても傍にいてくれた。
だから憂は本当の友達。お互いの闇まで知っている。知っているけれど私はすべてを話せていない。なんてずるい。
友達はいつの間にか関係が成立しているものだと良く聞くけれど。それは上辺だけの関係だと思う。なにも知らないことが良いことであるときもあれば、無知であることが罪になることもある。私はそう思うんだ。
私にもたくさんの、信頼できる、頼れる仲間がいた。
大事な、仲間。
どんなことをしてでも守り抜きたい仲間が。



