-舞莉たちの教室-
「舞莉!ちょっと、ねぇ!」
憂は舞莉を強く抱きしめて混乱している。
「佐々木…やめろ。
俺が保健室に連れてく」
憂とは反対に稜牙は落ち着いていた。
だが心の中は
不安、動揺、焦り、
でいっぱいだった。
だが憂も和十も落ち着けていないのが
あからさまに分かってしまっている。
だからせめて自分だけでも…
という思いで感情を隠していた。
稜牙は舞莉を抱きかかえ保健室を目指した。
途中…生徒指導室の前を通った。
するとタイミングを
見計らっていたかのように舞莉たちの担任…
三浦が教室から出てきた。
「おぉ、佐伯!
…なんで桜沢を抱っこしてんだ?」
三浦は稜牙に冷めた視線を送っていた。
だが、三浦が考えていることは
かけ離れた状況であることに気付いたのは
舞莉が苦しそうに眠っていたからだ。
「桜沢どうしたんだ?」
落ち着いた声で質問をした。
稜牙が無理に平常心を保っているのを
見抜いたからだ。
だが稜牙はここで口を開けば
きっとすぐさま崩れるだろう、
そう自覚していた。
だから三浦先生の話をスルーし、
軽く礼をし保健室を早足で目指した。
その様子を見た三浦は何かを察知し、
舞莉たちの教室に向かった。