紅佐離


「話を戻す、お前の本性は?」


この先生なかなかしぶとい。
しつこいと言った方が良いのか。

諦めてくれたらいいのに。


「今の私が本当の私ですから」

「なかなか折れねーのな、
 まいいや今度本性あばいてやっから」

「結構です」


最後に先生の名前聞いておこう。
そして、拓兄に聞こう。


「じゃぁな」


私が決めたとほぼ同時に先生は
ドアを開け出て行こうとした。


「先生」

「あぁ?」


相変わらず不良のような返事。


「先生の名前をフルネームでお願いします」

「なんで、いきなり
 ……俺は三浦雅夜だ。
 …もしかして覚えてなかったのかよ!?」

「いいえ…では、さようなら」






三浦雅夜(みうらまさや)
 高校教師  24歳






私は先生に名前を聞き
逃げるように生徒指導室を後にした。


「お前覚えとけよ!」


と言う怒鳴り声を聞きながら…。


そして、この後の衝撃に比べたら
小さな寄り道だった事を気づくのは

もう少し後だった。