「私は演じてなんかいませんよ」
此処はどうにかしても
嘘を守りきらなきゃ。
この先生は秘密を守ると思うけど
絶対に…。
「へぇー、俺に嘘つくんだ
バレバレだよ。正直にどーぞ」
「本当…です…」
「じゃぁ目ぇ見てちゃんと言ってみろよ」
そう言われてので私は顔を上にあげ
先生との視線を合せた。
「嘘なんて…ついてないです」
語尾の声が小さくなってしまった。
「いい加減にしろや…
じゃぁ俺から教えてやるよ」
何を教えてくれるのだろう。
私は分からず首をかしげた。
「俺の入ってた族は“貌龍”。
当時は17歳だったかな。
あんま覚えてねーな…
ヤベ年とって来たー。
ってか今の発言がじじくせー」
…今……この先生はなんと言った?
貌龍?
あり得ない。
拓兄が居る族…その名は貌龍。
という事は拓兄の先輩なのか。
もしかしたら拓兄の事、
知っているかも。
「先生は拓と言う人を知っていますか?」
「…?…あぁ
知ってる、拓とは仲がいいんだ。
この前覗きに行った時も拓と話しぞ。
…なんでお前が拓の事知ってんだ?」
私の予感は見事に的中…
という事は拓兄も先生の事知っている、
という事になる。
「その拓という人の名字は知っていますか?」
「知らねー、てか覚えてねぇー」
「そうですか…」
「で、お前とどういう関係?」
「別にどういった関係もないですよ」
「ま、また拓に聞いといてやるからいいや」



