紅佐離


拓兄と淳哉、2人が静かに
寝息をたてて寝ている。

その様子が凄く可愛かったから、
私は急いで携帯を鞄から取り出して…
写真を撮った。

本当に微笑ましくて…
この様子をお父さんやお母さんにも
見せてあげたいと思った。


「…ん…ぅ」

「拓兄?」


拓兄は私の視線が強すぎたようで
目を覚ましてしまった。


「おぉ、出たか。悪ぃな、寝てた」

「いえ…淳哉を寝かしつけてくれて
 ありがとうございます」

「リビング行くか。大事な話だ」


拓兄が急に真剣で
少し寂しそうな顔で小さく呟いた。

私は…何だか胸騒ぎがした。

もしかしたら、また

誰かが何処かへ行ってしまうのではないかと。