紅佐離


拓兄からの言葉がなければ

涙が零れ落ちているところだった。

なんとなく過去の出来事を
思い出しているうちに涙が出て来ていた。

過去の事、と言っても私にとっては

絶対に忘れられない大切な時間。

勿論、この傷も。

っ!!
ズキン…

痛む…最近出来た

雷斗を守る為に負った傷が。


私は食器を全て洗い終わった。

その頃に丁度淳哉と拓兄が
お風呂からあがって来た。


「お前も入って来い」

「はい」


本当はまだ大丈夫です、
もうちょっと後でいいです、

と言おうとした。
でも拓兄が真っ直ぐ私を見て
言うので逆らえなかった。


「拓兄、出ましたよ」


私はお風呂から出て拓兄に声をかけた。

だが、リビングには拓兄も
淳哉も居なかった。

ただ…電気の明かりがついているだけ。

私は淳哉の寝室を覗きに行った。

そこには…