舞莉side


「これでいいですか?」


私は髪をおろし、
眼鏡をとって、稜牙君に聞いた。


「…あぁ…」


和十君も何だか驚いている。


「舞莉…だよな?」

「はい」


和十君…いつの間にか呼び捨てになってる。
全然大丈夫だけど。

クラスのみんなは
気づいてないようだ。
よかった。


「もう、いいですか?」

「あぁ」


私は稜牙君からの返事を聞いてから
憂をつれてトイレに向かった。



「舞莉…」

「憂…これはヤバいのでしょうか?」


運良くトイレには誰もいなかった。


「…多分」

「私が青龍の元総長の金蝶だって
 ばれたと思いますか?」


そう。

私は青龍の2代目総長です。


14歳の頃に総長になった。
中学生でなるのは滅多にないことらしい。


「ばれてはいないでしょ!
 だって金蝶について知ってんの
 族の人間くらいでしょ?」

「…はい…」

「顔を知ってるのは雷斗君とか
 青龍のみんなとか
 傘下のチームとかじゃないの?」

「多分そうです」


雷斗とは、私が総長だった時の副総長。
私のせいで雷斗は一番大切な
居場所を失った。

私が雷斗を、仲間を守れなかったから。